冬の日々

何かがひらりと舞い降りてきて、僕の頬に当たり消える。空を見上げると、白いものがほっほっほと休むこと無く軽やかに舞い降りてくる。僕は空を見上げてため息をつく。今日はまた一段と冷え込みが厳しくなるのか、と。
そうやって僕が空を見上げていると、太ももの上で携帯が踊り出す。取り出し、見ると友人からのメールだ。

「やったよ!今日雪だ!積もるかな!?」

雪が珍しいところ出身の彼は、雪が降る度に僕にメールを寄越す。僕はメールを眺め苦笑して携帯を仕舞い空をもう一度見上げる。いつの頃からだろうか、僕が雪に喜ばなくなったのは。

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走り抜けよう、夢を抱えてーー「SPEEDBOY!」舞城王太郎を読んで

僕たちは自分の中に「重り」を持っている。多分、常識ってやつがそれだ。重りは僕たちを決めつけて、本当ならどこまでもシュンシュパパパと走り続けられる僕たちを、引き留める。その代わりに希望だとか夢だとかいうモノはどこまでも膨らませることができて、そのために僕たちはがんばれる。限界を超えられる。けれど、希望だとか夢だとかを膨らませすぎると僕たちは「悪く」なってしまう。夢に飲まれてしまう。だから、一緒に夢を追いかける相手が必要なのだ。ちょうど良いくらいの重りだけを持って。そうじゃないと何もかも置いてシュパシュパと走り去っていってしまうから。ちょうど良いくらいの夢や希望を膨らませて。あまりにも大きすぎると、自分が飲み込まれてしまうから。

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就活オブザデッド

はじめに

このテキストは、時雨沢恵一氏のツイートを元に書かれたものです。以下、ツイート引用:

ゾンビが生前の行動を繰り返すので、普通に会社来て休みも取らずによく働くので、「もう、従業員全員ゾンビで良くね?」と、ゾンビ以外の新卒採用を控えてしまう、『就活オブザデッド』というのを思いついたので誰か書いて。

というわけで、軽く書いてみました。

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僕の願い

このテキストについて

このテキストは、「桜花あどべんとかれんだぁ」企画参加によるものです。

  • 僕=なおた=「@naota344」:Gentoo/BSDの開発者。本あどべんとかれんだぁの企画者。
  • 桜花=おーか=「@rofi」:縞パンを履いている幼女大学生(♂)。

注意点

  • この作品のおける「なおた」と「桜花」は、私えむ・ばぁーどの勝手脳内妄想によるものであり、実際の製品とは異なる場合が御座います。
  • 大阪では「ノートパソコンを置き忘れると数時間で、短いと数十分でGentooが導入されていたりGentoo Linuxに入れ替えられる」という都市伝説があります。本作品ではこの都市伝説をベースにしています。
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「星を継ぐもの」読了。

「しっかりしろ、半ばを過ぎればきっとページを繰る手が止まらなくなる。あとはずっと怒濤の展開だから……」
ジェイムズ・P・ホーガンのSF作品「星を継ぐもの」を読み終えました。

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乾いた髪

大学宿舎の共用棟の前は、出会いの場。共用棟の中には共同浴場があり、夜になると風呂セットを小脇に抱えた学生たちが冬の夜の寒さに身体を震わせながら、ぞくぞくと集まって来る。ここは、風呂上りの異性と出会う数少ない場所。欲情、とまでは言わないけれど、心が少しさみしい人たちがふと足を止めて、反対側の異性の浴場を見やるのだ。
私もそうだ。番台のところで、色んな人たちの匂いにふと足を止めてしまう。そしてそんな中に彼の姿を探す。
彼はいつも7時半ごろに、やってくる。私はすっと姿を自販機の影に隠す。彼は私に気づくことなく共用棟に入り、風呂に向かう。私は携帯を取り出し時間を確認する。

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