そして僕とwindows serverは。

「ねえ、私の事、私のことをもう捨てるっていうの!?」とある夏の日、サーバルームで悲痛な声がサーバに当たってファン音に吸い込まれて行く。「私を、私を捨てるなんて酷い!10年以上も連れ添ったというのに、私を捨てるなんて!」彼女はLANケーブルを収めた蓋の上にしゃがみ込み動かなくなり、塩分を多めに含んだ液体を目から流しつつ僕をきいと睨んだ。「あんな!サーバ失格OSのMacなんかに貴方を取られるなんて!私!許さないから!」
その日、僕は上から長年連れ添った髪の青い奴 - Windows Serverとの別れを命じられた。「うちにも、そろそろゆにっくす?まっく?とかいうのを導入しようじゃないか。ほら、どちらの性別にも受けるらしいし、そうゆうのってコレからの世の中に必要だと思わないかい?」「部長、それはユニックスじゃなくてユニセックスです。とりあえず、次の入れ替えがMacに決定したことは把握しました。」
別に僕はWindowsに思い入れなんてなく、単に癖も無さそうで扱い易そうだからという理由で使っていただけだった。なので、予算が十二分にあるのならば別に感じるところはなかった。

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「そんなの、私は嫌だからね!」しかし、彼女は認めなかった。上からの命令、そんなの蹴り飛ばして河の向こう岸にけり飛ばしてしまえと、彼女は僕に言い、泣いて、喚いて、固まった。「おいおい、そんなことしたら、けり飛ばされるのは僕の首で、飛び越えるのは三途の川だろ?勘弁してくれよ……。いい加減機嫌直して移行ツールを動かしてくれよ。」そんな彼女をなだめながら、僕は新しい彼女に新しい環境を構築し始める。「よろしくね、これから。」「はい、私、美しさをいつまでも忘れないように頑張って行きます!」そうして彼女はにっこりと笑った。そうして僕とWindowsの関係は終わった。
しかし、悲劇はここから始まった。「おいユーザの追加をしたいんだけど?」「私美しいのでGUIからしかできなくなっています。」「おいcronへの登録したいんだけど?」「私ナウいのでlaunchdに統合されました。ちなみにGUIしかありません。」GUIGUIGUI。二言目にはGUI。「ぶちょおおおおお!あのマ○クソ使い物になりませんよ業務になりませんよ!やっぱりFreeBSDにしましょう!」「おおそうかそうか、あのべる?研究所?とかいうところが作った奴だな。今度発注しておくから、もう少し頑張ってくれ。」そういって部長はかちゃりと電話を持ち上げた。流石金だけは余っている会社、融通が利くぜ部長大好きブチュー!と思ってみるだけ思って僕はFreeBSDへの移行準備にサーバ室に戻った。
そうして一週間後の今日。僕の手元にはLinux-kvm上で走るplan9が届いた。部長が誇らしげに「どうだナウいだろ?新しいしこちらの方が良いと思ったんだ」と胸を張るので、1uなXserveマシンをラックからぶち抜いてその腹めがけて叩き付けた。