乾くるみ「イニシエーションラブ」を読みました

静岡大学理学部数学科の主人公が紡ぐ、青春小説。そんな皮を被った、作品でした。
基本主人公はどこかへたれっぽく、またそのへたれっぽさが所謂「理系クン」みたいな感じで、計算機科学を専攻する私にも共感する部分が多々ありました。そんな理系クンの通過儀礼な愛。イニシエーション・ラブ
時代は80年代半ば。バブル時代のお話で、凄い懐かしい気分になれます。ちょうど30代だとか40代だとかの人には、どストライクな物語かもしれません。ホンダシティとかマジ懐かしいです。男女七人夏物語とか懐かしいにもほどがあるんじゃないでしょうか*1
恋愛小説としては、凄く軽い感じの内容で、「恋愛小説?それラノベで見たよ!」っていうレベルな私としましては、非常に入りやすかったです。これで、ドロッドロの上級者向け恋愛小説なんて見た日には、布団おっかむって*2ブルブル震える羽目になっていたかもしれません。
最後まで読むと、凄い勢いでそれまでの伏線が回収されていって「なんぞ!」となり、もっかい読み直したくなります。「私時間節約したいしー」とかいう人でも、先に読むのはお勧めしません。いいですか、絶対最後のページを先に読んじゃだめですよ!絶対ですよ!絶対だかんね!
とりあえずの感想としては、ミステリー作家が書くと恋愛小説はこうなっちゃうんだよ、というまっとう?な一例なんでしょうかね。そう考えると、舞城王太郎の「好き好き大好き超愛してる」は変わっていたのかもしれませんね。あれは全然ちっともこれっぽっちもミステリー要素入ってなかったですし*3
恋愛とミステリーを一冊で楽しめる、一粒で二度美味しいこの作品。お勧めです。

*1:勘違いしないで下さいよっ!べ、別に私は男女七人夏物語観ていないんですから……ッ!(///)……いや、でも観たいのは観たいです。はい。

*2:OCamlと勘違いせんでやー。

*3:入ってたらそれはそれで面白い気がする!