晴れた日の苺

ぐぐぐっと背伸びをして周りを見渡すと、いつのまにか桜も散って新年度もすでに一ヶ月を駆け抜けていてゴールデンウィーク即ち黄金のNEEEEET週間に突入したことに気がつく。ああそうだ実家に帰らなきゃ、でも面倒いな、新幹線で帰るか、でも高いな、なんて逡巡しながら高速バスのウェブサイトを見ると一席だけ空いている。丁度良い時間帯に、一席だけ。仕方なくポチリと申し込みをしようとする。Oh,Fuck!高速バスのサイトはWindowsじゃないと申し込みが出来ないんだった、と舌打ちしながらWindowsマシンを立ち上げ席を予約する。
そうしてクソほど混んでいる高速道路をクソほど遅れた高速バスでビュビュビュっと駆け抜けて地元に着いた僕は、久々に祖母の畑に立った。蜂芋虫そして蝶。畑にはよく遊びに来ていたのに、何故か虫が苦手なままの僕はどっかからミツバチが飛んでくるのをビクビクおびえながら周りを見渡す。

キュウリだとか苺だとかキャベツだとか。それなりに多彩な種類の野菜や果物が季節毎に取れて、そしてそれを取ったその日に食べる。そんなのが当たり前だった実家での暮らしは、だけれど一人暮らしになるとすごく贅沢だったって事に気づかされて。


気づくと周りをぶうぶぶんとミツバチが飛び回っている花をじいと見つめてしまっていたのだけれど、不思議と懐かしい気分だけを感じた。それでも、やっぱりパジャマの中に潜んで僕の太ももをズブリと刺して死んで行ったミツバチの記憶は消されない。


「たったこれだけで500円!?ひえー!」とジャスコの野菜売り場で悲鳴を上げてしまった苺も、今日だけは食べ放題。鳥避けの網を破って祖母に怒られないように、僕はそうと足を踏み入れて苺を味わった。

オイシー!