それは舞い散るビラのように

「いいか!ビラを撒いて撒いて撒いて撒いて、勧誘しまくるんだ!」「オス!」そんな言葉が聞こえそうな位にビラを持ったあやしい集団がうろつく筑波大学構内。「12時まで残り5分です」時間カッキリから始めないと酷いペナルティを背負う事となるこのイベント。「刺すか刺されるか、取るか取られるか。それだけだ。」新入生を巡る熱いバトルは始まる。
「新歓祭開始ですッ!」そして火蓋は切って落とされた。「けんどおおおおおおおおおおおおおおでええええええええすうううううううううう」「テニスううううううう興味ありまあああああせんかああああああああ」体育系のサークルは流石、声量で勝負。「何あの格好!面白い!」芸術系なサークルはインパクトで勝負。「これは、厳しい戦いになるかもわからんね。」そう、僕たちは呟いた。
インパクトと声でいくのなら、こちらはもうテクニックしかない。テクニック。勧誘テクニック。そう、僕らは敏腕セールスマンのごとく振る舞いをするしかない。考えるな、感じろ。そう、いつもあの鬱陶しいけれど有能なセールスマンは何をしていた。あの鬱陶しい声掛けはどうやって店に客を引っ張って行った。それを感じるままに再現するだけだ!
そう、僕は今セールスマンとなる。断られるのが怖いからって声を掛けずにいれば、何も勝ち得ない。新入生に次々声を掛けるんだ!

「ご入学おめでとうございます!機械とか興味ないですか?電波とか無線とか、楽しいですよ!」
「あ、嫌いですので結構です。」
「イイッス。」
「すいません、通して下さい。」
「さっき貰いました。」

ガッシボカ。私の心は凹んだ。