別れの後の出会い。そして春。

「愛を取り戻せ」だとかそんな歌詞の歌が巷に溢れているという話を時々耳にするけれど、失われた愛だなんてそうそう取り戻せない。まあだけれど世の中にはどんなものにも裏技があって、もちろんこの真理にも例外が存在する。それは上上下下左右左右BAなんて複雑怪奇摩訶不思議な呪文でもなんでもなくて、誰でも知っているし持っているし使ってすらいるMoney。
時間は金に等価交換ができるとかできないとか、はるか昔の哲学者や経済学者辺りが夏目漱石の目を笑わせるついでに考えてきたのだけれどその結果わかった事はたった一つで、その変換効率が異様に低いことだけ。まるで鼻毛カッターでブゥゥーンっと片端から切り刻まずに、指で一本一本抜くぐらいの効率。
そんな丹精込めて一本一本抜いて集めた鼻毛の如きMoneyというのは、やっぱり世間一般では何事にも代え難くて、それの価値は何よりも大きい思っている人は多い。その貴重な「Money」を物量作戦でドバドバドバっと大量投入して「寿司食いねぇってか金食いねぇ?マジで好きなだけ。」と言ってしまえば愛ですらも手に入れられるというのは道理。

とまあ、ここまでの話は勿論買う側の理論であって、買われる側の理論は違う。それじゃ、買われる側はどうしたら買ってもらえるかってのは鼻に鼻毛カッターを突っ込んでスイッチをカチリっと入れるよりも簡単だ。そう、無料のような価格を付けてしまえばいい。
そんな訳で、僕は昔別れた恋人 - その当時はJ-PhoneだとかVodafoneだとか呼ばれていたけれど - と寄りを戻した理由は「今私との関係維持費は月8円よ」だとか囁かれたからに他ならない。しかもその眩暈がするほど魅惑的なボディを一人占めするのに初期費用はたったの 9800円ぽっちという条件。普通なら「私はお高いのよ」とか言われて5万だとか10万だとかせしめられるのに。
新卒採用で営業まがいのことをさせるだとか、お父さんが禿℡だとか、そんな誹りを受けている彼女だけれども、僕と彼女はこんなに強い絆で再び結ばれる事となったのだった。その絆はアルミニウムのように粘り強く、頑丈だ。

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